【図解あり】計装工事の基本|未経験でもすぐわかる!

工場やプラント、その他施設などで重要な役割を果たす「計装工事」

名前は聞いたことがあっても、「具体的に何をするの?」「電気工事とどう違うの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、計装工事の定義や範囲といった基礎知識をはじめ、仕事内容、未経験者へのアドバイス、将来性までを図解イメージ付きでわかりやすく解説します。

これから計装の仕事に関わる方や、興味のある方にとっての「入門ガイド」としてご活用ください。

目次

✅未経験でも大丈夫?計装工事の仕事に就くための基礎知識

計装工事はどんな人に向いている?

計装工事は、工場やプラントにおいて「計測」「制御」を担う重要な分野です。JIS(日本産業規格)によると、「計装」とは『プロセスの状態を計測・記録し、それに基づいて制御・管理を行う技術の総称』と定義されています。

その工事を担う計装技術者には、正確性と慎重さが求められます。

特に、配線ミスやセンサー設定の間違いは、生産ライン全体のトラブルに直結する可能性があるため、「細かい作業が苦にならない人」や「注意深い観察力のある人」が向いています。

プラモデルやパズルが好きな人は向いてるかも..

また、実際の現場では職人同士の連携が不可欠なので、「協調性」「報連相ができること」も大切な要素です。

未経験者に求められる最低限の知識とは

計装の仕事に携わることは、未経験から始める方の方がほとんどです。

そんな中でも、以下のような基礎知識があると、スムーズなスタートが切れるでしょう。

  • 電気の基礎(直流・交流、電圧・電流の違いなど)
  • 信号の種類(アナログ信号・デジタル信号とは何か)
  • 計装図記号(JIS Z8310等に基づく記号)やフロー図の見方

現場に出る前に軽くでも触れておくことで、作業の背景が理解しやすくなり、周囲の指示もスムーズに受け取れるようになります。

入門に役立つ資格や勉強法

資格が無くても働ける場合はありますが、以下のような資格は現場で非常に評価されます:

  • 第二種電気工事士(国家資格)
  • 計装士(1級・2級)(日本計装協会)
  • 消防設備士(乙種7類)(感知器等を扱う場合に有効)

参考書の例:

  • 『第一種・第二種電気工事士 筆記+実技の完全攻略』(オーム社)
  • 『計装技術の基礎』(日刊工業新聞社)

YouTubeなどで「計装 配線例」「電気工事士 実技」といったキーワードで検索すると、実演動画も見られます。

実務未経験でも採用されるケースとは

人材不足が続く設備系業界では、「育てる採用」に力を入れる企業が増えています。特に地方のプラント工事会社や、請負工事が多い中小企業では、未経験の若手を採用してOJTで育てる傾向が顕著です。

応募時には、「手に職をつけたい」「ものづくりに関心がある」といった動機を自分の言葉でしっかり伝えることが、採用成功のカギになります。

初心者が気をつけたい注意点

計装工事は高所作業や電気機器を扱うため、安全意識が何よりも重要です。また、暑さ寒さなど厳しい環境下での作業もあるため、体調管理やチームワークも大切なポイントです。

他にも..

  • 安全第一が最優先:感電や高所作業のリスクを理解し、保護具やKY活動(危険予知)を習慣化しましょう
  • 工具の扱いに慣れる:ドライバー、圧着ペンチ、マルチメーターなどの基礎操作はマストスキルです
  • 「できません」を恐れない:現場では、正確に質問できる人の方が成長が早いと言われます

「慣れ」が求められる現場ですが、最初のハードルを超えるとやりがいを感じられる仕事です。

✅電気工事との違いは?混同されがちな2つの工事を比較

計装工事と電気工事の基本的な違い

計装工事と電気工事は、どちらも「電気」を扱う技術職ですが、目的や作業内容には明確な違いがあります。

  • 電気工事:建物や施設に電力を供給するための配線・機器の設置を行う。対象は照明、コンセント、動力設備など。
  • 計装工事:工場やプラント内で機械や設備の動作を「制御」するためのセンサーや制御機器を取り付け、信号配線を行う。

言い換えると、電気工事は「電気を流す」ための工事、計装工事は「電気信号で動作を制御する」ための工事です。
また、電気工事が主に「人のための電気供給」を担うのに対し、計装工事は「機械の自動化・最適化」を担います。

担当する業務領域の比較

項目電気工事計装工事
主な対象一般建築物(住宅・オフィスなど)プラント・工場
目的電力供給・照明・動力制御自動制御・データ収集・監視
使用機器分電盤、スイッチ、コンセント等センサー、制御盤、PLC、バルブ等
信号の種類電力信号(AC100V〜200V)制御信号(4-20mA、0-10V、パルスなど)

扱う電気の種類、目的、対象機器が異なるため、必要なスキルも当然変わってきます。

資格や必要スキルの違い

🛠 電気工事に必要な資格

  • 第二種電気工事士(住宅・小規模施設向け)
  • 第一種電気工事士(高圧設備対応)
  • 電気主任技術者(施設の電気管理者向け)

🧠 計装工事に求められるスキル・資格

  • 計装士(1級・2級):設計・施工・保守の実力を証明
  • PLC(シーケンサ)やDCS(分散制御システム)の知識
  • システム全体を捉える俯瞰的な理解力と応用力

電気工事が“実務技術”に強く、計装工事は“理論+制御系スキル”が強みというイメージです。

どちらの分野が自分に合っているか?

向いている人の傾向推奨工事
手や体を動かすのが得意/工具が好き電気工事
機械の仕組みに興味がある/制御に惹かれる計装工事
将来、設計職や制御系エンジニアを目指したい計装工事

このように、自分の「興味」や「向いている作業内容」から選ぶのが、長く続けられる道を見つける近道になります。

無理に決めず、まずは面接で相談してみてもいいかも!!

✅図解でわかる!計装工事の全体像と作業の流れ

計装工事の全体フローとは?

計装工事は、単にセンサーを取り付けるだけの仕事ではありません。
計装設計から施工、試運転・調整までの多工程作業で構成されており、それぞれに専門性が求められます。

この一連の作業を通じて、生産ラインが安全かつ自動的に最適な動きをする環境が構築されます。

計装設計から施工、試運転までの工程

📐 設計工程

  • 制御対象やプロセスに応じて機器を選定し、ループ図・機器配置図・I/Oリストなどを作成
  • PID制御、フィードバック制御、冗長構成などの制御戦略を反映
  • DCS(分散制御システム)との連携設計も必要な場合あり

🔧 施工工程

  • センサーやバルブの現場設置、ケーブルの配線、制御盤内部の結線を実施
  • ノイズ混入を防ぐためにツイストペアケーブルやシールドケーブルを適切に使用
  • 作業はJISや社内施工基準に従って行われ、安全管理が最優先

🚦 試運転・調整工程

  • 実際の運転状況を模した状態で信号のチェックやアラーム動作の確認を行う
  • 調整ではセンサーのレンジ設定やゼロスパン調整、異常時のフェイルセーフ設定などを実施
  • DCSやSCADAに正しくデータが届いているかを確認することも重要

✅計装工事の将来性とキャリアパスについて考える

今後の計装業界の動向とは

製造業の現場では、今や「スマートファクトリー化」「産業DX(デジタルトランスフォーメーション)」が重要テーマとなっています。その中心にあるのが、計装技術による最適化・自動化です。

例えば、温度・圧力・流量といった生産現場の「目に見えない変化」を数値として計測し、それを制御することで:

  • エネルギーの無駄を削減
  • 人手をかけずに品質を安定化
  • 安全性や保守性の向上が可能

といった多くのメリットが実現できます。

今後、脱炭素化・省エネ・人手不足といった社会課題が進行するなかで、計装工事のニーズは今後も安定して拡大していく見込みです。

自動化・IoT化がもたらす影響

従来の計装は「センサー → コントローラー → アクチュエーター」の単純な制御が主でしたが、近年は以下のような進化が起きています。

  • センサーがインターネットを介してクラウドとつながる
  • 制御データがリアルタイムで蓄積・可視化される
  • 異常兆候をAIが予測し、保守を効率化

このように、制御の世界にもIT・AI・データ解析スキルが必要とされる時代に突入しています。

つまり、計装技術者は単なる「作業者」ではなく、現場とデジタルをつなぐテクノロジーエンジニアとして活躍できる存在なのです。

キャリアアップに必要な資格と経験

計装工事のキャリアは、現場作業から設計・管理、そしてエンジニアリングへとステップアップ型で発展していきます。

🧩キャリアモデル例

  • 現場スタッフ:機器据付・配線・試運転
  • リーダー職:若手指導・作業指示・現場段取り
  • 設計/施工管理:図面作成・見積もり・工程/品質管理
  • 専門職エンジニア:DCS設計・ネットワーク構築・クラウド連携など

🎓キャリアを広げる主要資格

  • 計装士(1級・2級):計装技術者の登竜門
  • 電気工事施工管理技士(1級・2級):公共工事対応に有利
  • エネルギー管理士:省エネやESG対応にも応用可能
  • 電気主任技術者(三種以上):電力監視や保安責任者としての道も

また、実務経験+資格を備えれば、フリーランスとして企業から業務委託を受けることも十分可能です。

このように計装工事は、技術の進化と共に将来性・安定性・専門性の三拍子がそろった職種へと進化しています。
単なる現場作業の枠を超えて、社会のインフラを支える「テクノロジー職人」への道を歩める、非常に魅力あるキャリアです。

✅まとめ:計装工事は“未来のものづくり”を支える仕事

計装工事は、単なる配線作業ではなく、現場の自動化・最適化を実現する「技術の要」です。未経験からでもスタートでき、手に職をつけながらキャリアアップも目指せる非常に魅力的な分野と言えるでしょう。

これからの製造業では、DX・スマートファクトリーの波がさらに加速します。その中で、計装の知識とスキルを持つ技術者は、ますます重要な存在に。制御・IT・データ分析といった幅広い分野に挑戦できる、可能性に満ちたフィールドです。

「興味がある」「挑戦してみたい」と感じたなら、まずは一歩踏み出してみましょう。

“あなたの手で、未来の産業を動かす。”
それが、計装工事という仕事の本当の魅力です。

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